18世紀後半から19世紀にかけて蒸気機関が発明され改良されてきました。 しかしそれらは学問的に考えられたものではなく経験的に進められたものでした。
熱についてもまだよくわかっておらず、熱を物質の一つと考えるカロリック説(熱素説)が有力でした。 物体の温度が変わるのは、熱いものから冷たいものに熱素が移動するからだと考えられていました。
マイヤーはエネルギーの総量は常に一定で消滅することはないと主張します。 このころジュールやヘルムホルツもそれぞれ同様の主張をしています。
走っている機関車や、弾んでいるボールは放っておけばやがて止まってしまいます。 このとき運動エネルギーはどこかに消滅してしまったように見えますが、 これは別のエネルギーに形を変えただけで、決してエネルギーが消滅したわけではないのです。
彼らは物体の運動エネルギーをいくらでも熱に変えることができることを確かめました。 ジュールの実験によると、$ $$1J$ のエネルギーは約 $4.2cal$ の熱に変わります。 つまり熱とはエネルギーの一つの形態だということです。
我々の身の回りにあるどんな物にせよその内部にエネルギーを持っています。 先ほど述べた熱エネルギーの他にも、 植物は光合成によって光のエネルギーを化学エネルギーに変えて内部に蓄えています。 このようにエネルギーは形を変えているだけで、増えも減りもせず循環しているはずだというのが彼らの主張です。
内部エネルギーは手に取って観察できるようなものではありません。 野球ボールにどれだけのエネルギーが入っているかなど見てもわかりませんが、 確かに存在しているとしか思えない物理量です。